連続公開研究会「マンガと学術研究」 第1回


報告1 「誰が〈少女〉の担い手か 作品分析による受容の多様性の考察」
報告者:秦美香子(神戸大学大学院総合人間科学研究科 人間文化科学専攻)「少女」イメージは、「少女マンガ」などの「少女メディア」だけでなく、さまざまなメディアにおいて分散している。「少女」を扱う作品・言説の分析 を通して、「少女」は「正当な担い手」など存在しない、多様で動的で潜在的なものであることについて考察する。また、その作業を通して、受容分析ではなく 作品分析をすることによっても、多様で能動的な受容のあり方について考察することが可能なのではないかという、研究の方法についても検討する。
報告2 「テクストとしての二次創作: 〈やおい〉という読みをめぐって」
報告者:石川優(大阪市立大学大学院文学研究科 言語文化学専攻 表現文化学専修 後期博士課程)本報告では、女性向け二次創作のひとつである〈やおい〉をとりあげる。マンガやアニメなどに登場する男性キャラクター同士の関係性に恋愛要素を読み こむ〈やおい〉は、原作が示す意味内容の位相をずらすという意味において、原作の支配的な読みに対して意図的な〈誤読〉をおこなっているといえる。その読 みの様態とテクストの領有の関係について、マンガ同人誌を事例として考察する。
日時:2009年6月14日(日)15時~18時場所:京都国際マンガミュージアム 研究室1