カトゥーン部会2023年度第1回研究会


カトゥーン部会2023年度第1回研究会

  1. 日時:2023年5月9日(火)18:00~20:00
  2. 場所:zoomによる会議(読書会)
  3. 議題:小山昌宏『批評なきカートゥーンのゆくえ 風刺滑稽画はいかに生き残れるのか? 』(汎工房、2023年)を読む
  4. 概要:
     著者の小山昌弘さんをお招きして、ご著書の前提となる批評とは何かについてお話をいただいた。小山さんは、文学を中心にした「批評」の概念史を西洋と日本(近代)について概観し、杉田俊介さんの論考を基に、カートゥーンにおける諷刺に内在する批評について語った。文責者が要約するには、以下のような内容であったと推察される。政治と大衆(娯楽)をつなぐ批評の可能性は自らに帰る再帰性ともよぶべきところにある。しかし、カートゥーンにおいては、情報生産・流通・消費のそれぞれの要素およびそれらをとりまく情報環境に諸問題を抱えていて、それぞれの閉鎖性を解くことは容易ではない。
     
      参加者からは、以下のような質問・意見がなされた。国際的に見ればカートゥーンの価値は失われていない、作品の「質」が掲載媒体に左右されるのではないか、ジャーナリズム性について、扱う内容によっても、読み手の認知が異なり、結果としてジャーナリズム性も異なるのでは、といった問いや、4コマ漫画との類似点・相違点からカートゥーンの諷刺性を考えることや、理性や知性がそもそも風刺漫画に必要か、といったことが論じられた。 
    (文責 茨木正治) 
カテゴリー: カトゥーン部会