カトゥーン部会2017年度第1回研究会
以下の要領で,2017年度第1回研究会を開きますので多くの方のご参加をお待ちしています。
- 日時
2017年4月29日(土)14:00~18:00 - 場所
立教大学12号館3階 B343教室(社会調査室)
(〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1)
アクセスマップ - 報告者・論題
池上賢 氏(立教大学)「日本におけるマンガ・マンガ論・社会学的マンガ研究の発展」
(博士論文の単著化に向けた報告) - 報告概要
本報告では、筆者の博士論文『マンガ経験の社会学――共有に伴う社会への接続とアイデンティティの構成』の単著化に向けた加筆修正内容について報告を行う。本論文は2011年に発表したものであるが、特に加筆した序章、問題意識を記した第1章、マンガの発展史を記述した第2章について大幅な修正を必要としている。
以上を踏まえて、本報告では以下の内容について単著化に向けた草案を報告する。まず序章『本書の目的と意義』では、博士論文の再構成に当たり加筆した本書の基本的な問題関心、研究の意義、本書の構成などについて説明する。次に、第1章『研究の背景――マンガ表現の特徴と歴史的・社会的文脈』では、マンガ表現の特徴や戦後におけるマンガの発達史について記述する。最後に、第2章『問題意識――マンガ経験の社会学へ』本書の基本的な問題意識について記述する。 - 研究会報告
第1章にあたる,漫画表現の展開を歴史的に追った部分と,第7章の一部である「マンガ経験とナラティブアイデンティティ」について報告がなされた。第1章を参加者が20分ほど読んだうえで,多くの質問やコメントがなされた。この章の目的が何であったのかが確認された。マンガの歴史の概観ならば,カートゥーンとストーリーマンガの区別(概念規定による整理)をすべきである,マンガ論の概観ならば,1960年代から70年代にかけての石子順造らの「マンガ主義」論などの記述を含めるべきである,などの指摘がなされた。報告者の関心がメディアオーディエンス論とマンガ研究への新しい知見の提供にあるとすれば,戦後を中心としたマンガの概観は,むしろ読み手(受け手)の視点に立ったも野を軸とする必要があるのではないかという指摘がなされた。
第7章については,なぜマンガ経験をナラティブアイデンティティと接合させるのかといった点について議論がなされた。この点について,雑誌マンガというメディアの持っている(ていた)特徴と受け手のそれへの接触の契機,ライフヒストリー研究という相互作用研究が作る「場」によって生み出される「そのようなものとして認知される」ものとマンガメディアとの関係について何らかの特徴が他のメディに比べて見出されるのではないかといった指摘もなされた。(文責 茨木正治)
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