『ポピュラー文化ミュージアム 文化の収集・共有・消費』


[編著]石田佐恵子/村田麻里子/山中千恵
ミネルヴァ書房
2013年3月30日発行
定価:3500円
ISBN978-4-623-06277-5

[目次]
まえがき―ポピュラー文化ミュージアムとは何か

第1部 ポピュラー文化ミュージアムを考える枠組みと方法

村田麻里子
第1章 ミュージアムから考える
1 ミュージアムはポピュラー文化か
–二つの<ポピュラー文化>化現象
–ミュージアムの定義
2 ミュージアム・コンテンツの<ポピュラー文化>化
–ポピュラー文化の流入
–ポピュラー文化と「真正性」
–「ポピュラー文化ミュージアム」の射程
3 ミュージアム体験の<ポピュラー文化>化
–メディア体験としてのミュージアム
–私たちはミュージアムで何をしているのか―ミュージアム体験
4 ミュージアムから考える

井上雅人/コラム 1 植田正治写真美術館
村田麻里子/コラム 2 足立美術館
村田麻里子/コラム 3 大塚国際美術館

山中千恵
第2章 ポピュラー文化から考える
1 ポピュラー文化は遺産か
–<ミュージアム>の誕生
–<ミュージアム>をめぐるすれちがい
2 ポピュラー文化を資源・遺産とみなす<ミュージアム>の設立
–「ポピュラー」であることへの期待
–ポピュラー文化に「真正性」を
3 <ミュージアム>的なポピュラー文化
–集める楽しみ
–鑑賞する楽しみ
4 ポピュラー文化から考える

イトウユウ/コラム 4 ナゾのパラダイス(淡路立川水仙郷)
イトウユウ/コラム 5 銀座通り(新橋-京橋間)

岩谷洋史
第3章 フィールドを捉える方法―どのようにして見て、記録し、まとめるか―
1 ポピュラー文化ミュージアムへのアプローチ
2 フィールドで観察をする
–参与観察という方法
–「来館者」としての参与観察
3 フィールドへ行く前に
–エスノグラフィーのプロセス
–調査企画書の作成
4 フィールドでのデータ収集
–フィールドノートをとる
–写真やビデオをとる
–インタビューをする
5 データの分析・解釈
–データ分析・解釈の目標
–データを整理する
–データを概念化する
–概念間の関係を把握する
–理論の参照
6 調査者自身に委ねられるエスノグラフィー

岩谷洋史
第4章 フィールドワークの展開―「水木しげるロード」を事例に―
1 どのフィールドを対象にするのか
2 フィールドへ行く前に―事前の準備と考察
–インターネットを利用して調べる
–事前の準備で分かること
–フィールドワークのための問題設定
3 フィールドワークを整理する
4 調査データをもとにした概念化の作業
–基本的な概念の作成
–具現化
–概念と概念間の関係を検討
–調査データから何が見えるのか
5 フィールドで求められる柔軟性

木村至聖/コラム 6 軍艦島
朴祥美/コラム  7 韓国郡山市

第2部 ジャンルとしてのポピュラー文化ミュージアム

谷本奈穂
第5章 化粧品のミュージアム―その困難と可能性―
1 文化となった化粧品―専門メディアとファンの成立
–専門メディアの登場
–ファンの登場と広まり
–ポピュラリティを得た化粧
2 花王ミュージアムの基本情報―考察の前に
–花王ミュージアムの設立背景
–誰が訪れているのか
3 化粧文化とテクスチュア
–ミュージアム訪問
–問題提起
–化粧(品)は「文化」たりえるのか(1)―アカデミックな関心の高まり
–化粧(品)は「文化」たりえるのか(2)―しょせん商品か?
–テクスチュアは展示できるのか(1)―運営上の困難
–テクスチュアは展示できりのか(2)―感覚を展示する困難
–立ちすくむ化粧品の展示
4 企業の支え、見せえないモノ
–企業の支えの是非
–見せえないモノの展示

井上雅人/コラム 8 神戸ファッション美術館
松田いりあ/コラム 9 郊外型ショッピングモール

南田勝也
第6章 ポピュラー音楽関連ミュージアム
1 ポピュラー音楽のミュージアム
–音楽のミュージアム
–音のミュージアム
–ポピュラー音楽のミュージアム
2 ポピュラー音楽の定義と性質
–ポピュラー音楽の定義
–ポピュラー音楽の性質:偏在性
–ポピュラー音楽の性質:コモディティ化
3 場所性と非-場所性―レ・コード館を中心に
–フォーラムとしてのミュージアム
–もう一つの可能性としてのレ・コード館
–館内の施設
–歴史と現状
–音の遺伝子の体験
4 発展研究への誘い

永井純一/コラム 10 「鳴く虫と郷町」、伊丹昆虫館
永井純一/コラム 11 京都嵐山 美空ひばり座
山崎晶/コラム 12 音戯の郷
山崎晶/コラム 13 浜松市楽器博物館
山崎晶/コラム 14 古賀政男音楽博物館
小川博司/コラム 15 六甲オルゴールミュージアム

佐野明子
第7章 テレビ・映像関連ミュージアム―「大和ミュージアム」を事例に―
1 映像のミュージアム/アーカイブとは
–映画関連ミュージアム
–アニメーション関連ミュージアム
–テレビ番組アーカイブ(ライブラリー)
2 複数のミュージアム/アーカイブへ行ってみよう
3 映像/記憶/想起のなかの戦艦大和
–映像の中の戦艦大和
–映像からミュージアムへ
–大和ミュージアムをフィールドワーク
4「明るい」大和ミュージアム

佐野明子/コラム 16 神戸映画資料館
石田佐恵子/コラム 17 夢千代館
石田佐恵子/コラム 18 伊丹十三記念館
石田佐恵子/コラム 19 兼高かおる旅の資料館
梁仁實/コラム 20 東アジアにおける映像アーカイブ

増田のぞみ
第8章 マンガ関連ミュージアム
1 マンガ関連ミュージアムの概観とその分類
–マンガ関連ミュージアムの特徴
–マンガ関連ミュージアムの分類
2 マンガ関連ミュージアムに期待される役割
–「総合施設型」と「図書館型」施設への注目
–特色あるコレクションの魅力
3 「公」的なミュージアムと「私」的なミュージアム
–京都国際マンガミュージアム
–米沢嘉博記念図書館
–少女まんが館
–昭和漫画館青虫
4 マンガ関連ミュージアムが抱える課題
–マンガ関連施設増加の背景
–「テーマパーク型」(参加・体験型)
–ミュージアムの増加
–マンガ関連ミュージアムが抱える問題と社会との軋轢

山中千恵/コラム 21 韓国漫画映像振興院
イトウユウ/コラム 22 石ノ森萬画館

辻泉
第9章 マニア文化関連ミュージアム―鉄道ミュージアムを事例に―
1 マニア文化関連ミュージアムとは何か
–本章の目的
–なぜ鉄道ミュージアムか
2 博物館と少年たちの帝国主義
–二つの注意点
–帝国主義のディスプレイ
–鉄道博物館開館の背景
–科学少年・軍国少年の時代
–なぜ“鉄道”博物館だったのか
3 博物館からマニア文化関連ミュージアムへ
–「想像力の文化」という通奏低音
–「想像力の文化」の歴史的変遷
–鉄道関連ミュージアムの歴史的変遷
4 マニア文化関連ミュージアムのこれから―発展研究への誘い
–マニア文化関連ミュージアムの日常化
–マニア文化関連ミュージアムのアーカイブ化
–これからのマニア文化関連ミュージアム

今井隆介/コラム 23 <城郭ミュージアム>とは何か
今井隆介/コラム 24 体験学習型の<城郭ミュージアム>
今井隆介/コラム 25 都市計画型の<城郭ミュージアム>
永井純一/コラム 26 シャレコーベ・ミュージアム
松井広志/コラム 27 海洋堂フィギュアミュージアム黒壁 龍遊館
松井広志/コラム 28 バンダイミュージアムとガンダムフロント東京
松井広志/コラム 29 神戸ドールミュージアム

田原範子
第10章 エスニック関連ミュージアム―ブリコラージュとしてのアート―
1 ポピュラー文化としてのエスニックなるもの
–多文化主義
–他社の表象
2 展示される異文化
–万国博覧会
–異文化展示における「芸術/文化」論争
3 エスニックなるものとしての「アフリカ」
–「アフリカ」イメージ
–「アフリカ」の消費
–「アフリカ」の展示
–アフリカンアートミュージアム
–マコンデ美術館
–「アフリカ」のデコーディング
4 創造されるエスニックなるもの

岩谷洋史/コラム 30 灘五郷の酒造ミュージアム群
岩谷洋史/コラム 31 天王寺動物園
田原範子/コラム 32 リアス・アーク美術館
田原範子/コラム 33 太地町立くじらの博物館

石田佐恵子
第11章 越境するポピュラー文化ミュージアム―グローバル化/デジタル化時代の展望―
1 二つの事例から考える
–ピカチュウ・イン・ア・ミュージアム
–テディベア・ミュージアム
–ポピュラー文化ミュージアムの三つの越境性
2 ポピュラー文化ミュージアムに作用する二つのベクトル
–二つのベクトル
–ミュージアム、再文脈化の権力
–ポピュラー文化、ハイブリッド化と文化商品の越境
3 グローバル化/デジタル化時代のポピュラー文化ミュージアム
–二つのベクトルの動因
–グローバル化時代のポピュラー文化の拡散
–デジタル化時代のミュージアムの変容
4 ポピュラー文化ミュージアム研究の可能性
–未来のミュージアム?
–ポピュラー文化ミュージアムを研究する、ということ

高井昌吏/コラム 34 野球体育博物館
高井昌吏/コラム 35 秩父宮記念スポーツ博物館
藪耕太郎/コラム 36 沖縄とハワイの空手博物館

あとがき
おすすめの調査地リスト
人名・事項・施設名索引

カテゴリー: 書籍情報