カトゥーン部会2009年度第2回研究会


1日時:2009年9月26日(土)18:00~20:00
2場所:早稲田奉仕園セミナーハウス102号室
(〒169-8616 東京都新宿区西早稲田2-3-1)
3論題:座談会「フクちゃんとその時代のマンガ」
4研究会報告:
本年は横山隆一の生誕100年という節目の年にあたる。5月17日から8月30日まで高知の横山隆一記念まんが館で開催された「大フクちゃん展」 (2009年)の展示図録を元に、 「フクちゃん」を中心に、参加者が自由に語った。ここでいう「フクちゃん」とは、1936年『東京朝日新聞』東京版に登場した「江戸ッ子健ちゃん」を端緒 として、第2次世界大戦中の変更された題名、戦後の掲載紙・誌の変更(戦後まもなくの地方紙への配信、1971年までの『毎日新聞』、『サンデー毎日』 『週刊朝日』など)を含む作品群の総称であることを確認した。次に、原画と掲載時の画像との関係が、当時の横山隆一という「作り手」と新聞・雑誌の担当者 (部局)との関係にまで推測することができる(必要がある)ことが示された。また、表現論的視点では、コマの形やフキダシの形、使用される文字(ひらが な、カタカナ)についての指摘が「フクちゃん」について話し合われた。横山隆一を囲む人間関係(新漫画派集団)などにも話題として言及があった。そして、 「フクちゃん」ないし「大フクちゃん展」がもつ現代的意味が問われ、当該記念館では、横山隆一にとどまらない、マンガ全般が持つ特色を考えるために、「フ クちゃん」は典型であったことが指摘された。
そのために、当時の読者は自らをどのように捉え、かつ「フクちゃん」をどのように捉えたか、を考察することが今後必要であることが明らかになった。

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