カトゥーン部会2004年度第2回研究会
以下のように第2回研究会が行われた。
1報告者:押山美知子(専修大学大学院)
2報告題目:「手塚治虫の<宝塚マンガ>に関する小考」
3日時:2003年11月29日(土)14:00~17:00
4場所:神奈川近代文学館
5研究会報告
1947年から1950年まで、宝塚歌劇団の関連雑誌に掲載された手塚治虫のマンガを、「宝塚マンガ」とよぶとすれば、これらの「宝塚マンガ」には後の「リボンの騎士」の前段階的な表現が散見される。それら諸表現を、内容の分類とその変容、表現の特徴、ジェンダー表象の観点から検討した。「宝塚マンガ」は、上演作品のパロディー、歌劇団の構成委員に関するエピソードの描写、タカラジェンヌの似顔絵、ファンの描写に分けられ、時代が進むに連れ、それらに批評性が高まってくる傾向が見られた。また、ジェンダー表象については、後の作品ほど定まってはいないが、宝塚世界を身に付けていた手塚がジェンダーを表層的で非固定的な記号として取られていた可能性が考えられるという指摘があった。
参加者(5名)からは、物語の中で「女性」という性格を位置づけたことが、「宝塚マンガ」作品の「ジェンダーの流動性」の行く先ではなかったのかといった指摘や、こうした表現の特徴が、手塚を、女性を「生きた主体」として描きうる稀有な存在たらしめたのであろうという見解もあった。また、引用資料における漫画家の「表現」のありかたについて考えさせる指摘も見られた。-
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