海外マンガ交流部会 第18回公開研究会
日本マンガ学会 海外マンガ交流部会 第18回公開研究会
「海外マンガ研究の最前線――翻訳受容と学術研究の動向を探る」
日時:2026年3月28日(土)13時~16時00分+α
会場:専修大学神田校舎7号館(大学院棟)7階731教室
https://www.senshu-u.ac.jp/about/campus/
参加:無料。事前申込不要。どなたでもご参加いただけます。直接会場にお越しください。
<企画概要>
オンライン化がより一層進み、様々なカルチャーの受容、そして研究における方法論やアプローチも劇的に変容しつつあります。第18回公開研究会では、2部構成による講演2本により、翻訳受容および学術研究、それぞれの観点から海外マンガ研究の動向の最前線を展望することにします。
<プログラム>
【第1部】13:00-
原正人氏(翻訳者/「サウザンコミックス」編集主幹)
「2020年代前半の日本における海外マンガ事情」
(概要)2020年代も折り返し地点を迎えたが、コロナ禍前の2019年と比べると、日本における海外マンガの翻訳出版はかなり様相が異なってきている。2010年代には非常に多かったスーパーヒーローコミックスの翻訳点数が減少する一方で、当時はまだ決して多くなかったウェブトゥーンのコミカライズが、今や邦訳海外マンガの大多数を占めるようになった。また、私自身、「サウザンコミックス」というクラウドファンディングを通じて海外マンガを翻訳出版するレーベルの編集主幹を務めているが、出版のあり方も従来とは変わりつつある。この発表では、海外マンガのさまざまな局面を見渡しつつ、2020年代前半の日本における海外マンガを振り返る。
【第2部】14:45-
ロナルド・スチュワート氏(大東文化大学/漫画史研究)
「知られざる冒険漫画『ロブ・ザ・ローバー』」
――レスポンデント:Shige (CJ) Suzuki氏(ニューヨーク市立大学)
(概要)1920年代まで、新聞や雑誌に連載される漫画のほとんどはユーモアを基調としていた。しかしこの時期から、ユーモアを排した大胆な冒険漫画が台頭し始める。例えば、ロイ・クレーンの『Wash Tubbs』(1924年- )、ハル・フォスターの『Tarzan of the Apes』(1929年- )と『Prince Valiant』(1937年- )、フィリップ・フランシス・ノウランの『Buck Rogers』(1929年- )、アレックス・レイモンドの『Flash Gordon』(1934年- )、そしてミルトン・キャニフの『Terry and the Pirates』(1934年- )などのアメリカの新聞連載漫画が挙げられる。1920年代後半から1930年代は冒険漫画の黄金時代と見なされるようになり、後のスーパーヒーローや戦争ジャンルのマンガの発展に間違いなく影響を与えた。これらに先駆ける先駆的な冒険漫画の一つが、1920年に始まった英国の漫画『Rob the Rover』である。英語圏では今やほとんど記憶されていないが、1920年代から1930年代にかけてデンマーク、ノルウェー、スペイン、カナダ、インドネシア、チリ、さらには日本など世界各国に広がった。一部の国では派生作品が1970年代まで刊行され続け、現在にもファンがいる。本講演では、この作品とその作者、世界各国での様々な名称での展開について簡潔に紹介し、日本の版との比較で締めくくる。
<講師紹介>
★原正人氏(翻訳者/「サウザンコミックス」編集主幹)
1974年静岡県生まれ。フランス語圏のマンガ“バンド・デシネ”を精力的に紹介するフランス語翻訳者。世界のマンガをクラウドファンディングで翻訳出版するレーベル「サウザンコミックス」編集主幹。トニー・ヴァレント『ラディアン』、ダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』、ロラン・オプマン作、ルノー・ロッシュ画『ルーカス・ウォーズ』、IZU作、Hagane画『クラーケン・マレ』など訳書多数。海外コミックスのブックカフェ書肆喫茶mori店主とポッドキャスト「海外マンガの本棚」と「海外マンガRADIO」を配信中。
★ロナルド・スチュワート氏(大東文化大学/漫画史研究)
名古屋大学で大学院課程を修了したオーストラリア人で、現在は大東文化大学社会学部にて英語、マンガ・スタディーズや多文化主義に関する授業を担当している。研究の関心は日本漫画史、風刺漫画及び関連ユーモア理論、翻訳によるマンガの変化など。近著にShige (CJ) Suzukiとの共著『Manga: A Critical Guide』(2022)、論文集『Cambridge Companion to Manga and Anime』(2024)所収「Newspaper Comic Strips: Laughs in Four Panels」、展覧会カタログ『Manga tout un art!』(2025)所収「Dans l’entre-duex-guerres, de Rakuten a Tezuka」がある。2003年より日本マンガ学会会員。趣味として1996年より新聞や雑誌などに一コマ漫画やイラストを寄稿している。
★ Shige (CJ) Suzuki氏(ニューヨーク市立大学/比較文学、カルチュラル・スタディーズ、マンガ/コミックス研究)
カリフォルニア大学サンタクルズ校で博士号(比較文学)取得。主に日本マンガと北米英語圏のコミックスを研究している。『Manga: A Critical Guide』(ロナルド・スチュワートとの共著。Bloomsbury, 2022)など。