関西交流部会 第10回例会


日時>>2006年3月11日(土)14時~17時
場所>>大阪市立城北市民学習センター(関目高殿)

表智之氏(京都精華大学)
「マンガの分類方法についての検討-問題点の整理-」
参加者/11名

■概要
  マンガには現在のところ定まった分類体系がなく、図書館では著者別に、書店では版元別レーベル別に機械的に配架されるのが常で、「泣きたい」「笑いたい」などの漠然とした欲求を満たす新しいマンガと出合うことは、事前情報なしには不可能な状況にある。とは言えデータベースを用いて検索するのであれば、「分類」=個々の作品それぞれにある本質を規定することは必要ではなく、「見出し」=作品の要素や側面を示すキーワードを複数つけておけば用は足りる。ただマンガを配架する上で、書架を目でたどることで作品の類縁性が直感的にわかるような配列を目指そうとするならば、やはりキーワードでなくある種の分類が必要となる。
  今回は、時代区分/読者層/ジャンル/モチーフという4階層の分類法を試案として提示し、「このマンガを読め!」などのブックガイドのランキングを実際に分類してみる形でこの試案の問題点を洗い出そうと試みた。その結果、この試案では配架法としては煩雑に過ぎ、といって検索の便でデータベースには到底及ばないことが判明した。参加者の意見としては、検索はやはりデータベースに任せ、配架は極力機械的にとそれぞれ使い分けるのが妥当だろうとのことだった。ただマンガ研究上の方法論に関わって、たとえばあるジャンル内の作品傾向を数値化する場合などには、何をジャンルの単位とするか、分析者の恣意によらない対象設定の基準がやはり必要であり、今後も検討を要するとの声もあった。(文責/表智之)

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