カトゥーン部会2009年度第3回研究会


1日時:2010年2月2日(火)15:00~18:00
2場所:早稲田奉仕園セミナーハウス中会議室(100号室)
(東京都新宿区西早稲田2-3-1)
3報告者・論題
池上賢(立教大学大学院)
「マンガ経験の社会学――共有に伴う社会への接続とエンパワーメントの構成」

4研究会概要
今回の研究会は、東京情報大学の茨木ゼミとの共同研究会という形式をとり行われた。はじめに、茨木ゼミの学生による研究成果の報告があった。その後、報告 者により、博士論文全体の内容、およびその中の1章を構成する論文の詳細な検討という2部構成の発表が行われた。
はじめに、報告者の博士論文「マンガ経験の社会」について報告が行われた。ここでは筆者による共有に伴う社会への接続や、それにともなうエンパワーメント を分析するという問題意識や、インタビューデータの分析など各章の内容が紹介された。質疑応答では、エンパワーメントという概念の使用の仕方が妥当である かどうか、この概念はコミュニティなどを前提に特定の集団に対して適用すべきではないかという指摘が行われた。

その後、休憩を挟み上記博士論文の一部となる論文「マンガを読むという経験」について報告が行われ た。ここでは、マンガを読むという経験は、ジャンルや場面状況、登場人物などの定式化を伴い、読者が知識を参照しながら行われていることが報告された。こ の報告では、解釈の水準には物語を理解するうえで必要なものとそうではないものが存在するのではないかという指摘や、マンガを解釈するというさまざまな枠 組みが存在すると、従来あったマンガの多様性が狭まってしまうのではないかという懸念が提示され、活発な議論が行われた。(文責:池上 賢)

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