マンガ研究 vol.4


第3回大会特集号
2003年11月27日発行
表紙 長谷邦夫
基調講演

柏木博
「20世紀デザイン史におけるマンガの位置」
高橋瑞木「追記:柏木博氏の基調講演によせて」

研究発表

清水勲
「江戸戯画表現史 序論」
南雲大悟
「中国のカートン」
日下みどり
「香港武侠漫画について」
久保登
「マンガにおける光の表現(2)―屈折と反射―」
玉川博章
「マンガから小説へ―ヤングアダルト文庫における変化―」
Yumi Adachi
「クローン人間―萩尾望都の世界が暗示するもの」
遠藤泰弘/小方孝
「マンガの言説技法を統合する枠組みとしてのハイパーコミック」
小松正史/平野砂峰旅
「大学ポップ化計画―大阪大学ポピュラーカルチャー研究センターの展望」
小野耕世
「つげ義春『ねじ式』は、いかに英訳掲載されたか」
古橋右希
「現れぬ風景―手塚治虫はなぜ野球マンガを描かなかったのか?―
内記稔夫
「貸本マンガの発光年度確定の方法について」

研究論文

小野田哲弥
マンガ事象におけるサブカルチャーの領域規定―20代・30代読者のマンガ家認知情報に基づく構造分析―

訂正

訂正(誤 → 正)
■英文タイトル
(誤)
Scene That Didn’t Happen:
:Why Tezuka Osama Never Drew Basball Manga

(正)
The Refused Scene
:What made Tezuka Osamu neglect the baseball in his works?
小野田哲弥
マンガ事象におけるサブカルチャーの領域規定―20代・30代読者のマンガ家認知情報に基づく構造分析―

<要旨>豊熟した今日のマンガ文化を一括りに「サブカルチャー」と位置づけるのは間違いであり、「メイン」と「サブ」の内部階層が存在しているとする見方の方が正しい。しかし現代マンガ文化は、膨大なマンガ家・読者間の複雑なインタラクションによって成立しており、構造的な実証分析の実現は不可能に近い。本論文は、その限界に対して、テクノロジーの援用を頼りに挑戦した研究報告である。
まずインターネットを利用した社会調査の実施によって大量のデータを取得した。だがそのデータは不安定であるため、適正な加工を施した。さらにクラスタリングと座標プロットを行い視覚化した。その最終的形態がメディアマップである。メディアマップから各レイヤーを析出し、内部構造の把握と上下レイヤーとの比較を行った。これにより「メインカルチャー」と「サブカルチャー」それぞれの本質的特性が明らかとなり、両者に適合する一定の領域を規定することに成功した。

カテゴリー: 『マンガ研究』