『世界文学の中のドラえもん』


清水正
[発行]D文学研究会 [発売]星雲社
2012年9月10日発行
定価:1200円
ISBN978-4-434-17059-1

[目次]
『ドラえもん』論・序
ベトナムで人気の『ドラえもん』
日芸の「マンガ論」その他で『ドラえもん』論展開
なぜ『ドラえもん』なのか
批評は第1巻第1話に限った
第1頁第1コマの衝撃
コマ絵を執拗に読み解く
ディテールにこだわる
コマ絵にこめられた象徴的な意味
実存的な危機に陥った子供
実存の危機を見逃す読者
ガリ勉スタイル
ろくなことがない人生
不気味な予言
声はどこから
部屋の間取り
不安と恐怖に立ち尽くす
実態的意識性錯誤から自己像幻視へ
<分身>の現出・ドストエフスキーの場合
神をも超えた神の出現
分身<ぼく>の現出
のび太は死んでいる
のび太の復活
<ぼく>と<ぼく>の対面
<ドラえもん>の青
<ドラえもん>の変更可能なイメージ
<ドラえもん>に対面したのび太の衝撃的反応
賢治童話『どんぐりと山猫』の一郎とのび太
<ドラえもん>がのび太の<分身>だとすれば
母胎回帰と<父殺し>の問題
一郎の場合、<父殺し>は巧妙に隠されていた
『銀河鉄道の夜』におけるオイディプス的野望とその挫折
『カラマーゾフの兄弟』における<父殺し>
深層テキストの読みの問題
運命(必然)と自由(偶然)
<おそろしい運命>の変更
作者の戦略
定められた運命に不満
大人の現実認識
死即生の時空
『罪と罰』を想起
三から四への秘儀
のび太の<運命>と年齢
のび太の<運命の変更>
のび太の願望
ジャーナリズムの不在
<ドラえもん>現出の謎
<死と再生>の<ユートピア時空>

『ドラえもん』第1巻第1話「未来の国からはるばると」を読む
<ドラえもん>という名前
部屋の中央に寝そべっている子供
のどかなお正月
今年はいいことがありそうだ
のび太の部屋は密閉空間―実存の危機
不気味な予言の言葉―幻聴
異形なるものの現出
ぼくはきみをおそろしい運命からすくいにきた
人の運命なんか、わかってたまるか!!
マンガの手法
運命(必然)と偶然(自由)
キリストとの決定的な違い
賢治の童話『どんぐりと山猫』との関連―のび太の野望
勉強を強いられた夢見る子供
のび太は独裁者か?!
のび太とカレの関係
必然と自由―『オイディプス王』との関連において
ぬいぐるみのような可愛らしいカレ―悲劇的運命とおもち
ぼくはゆめを見ていたんだ
『ドラえもん』の人気の秘密
「おうい、ドラえもん。」―<分身>と実存の危機
のび太と同じ顔をした少年の出現
神が創造した絶対時間の相対化
神への反逆と流行マンガ家
こわいゆめを見たのね―のび太の両親の現実認識
死と再生の秘儀
ラザロの復活
のび太の母胎回帰願望
運命の落語的オチ―<ハネつき>と<首つり>
<マンガ>は現実法則に忠実に従う必要はない
希望と捨てない<できない子供>
<運命>と反逆
強い者と闘わないのび太
<火あぶり>の落語的オチ
<ツルリ>―時間軸からの逸脱
未来を知ることは恐ろしいことだ
写真は誰が撮影したのか
運命は変えることができるんだから
<運命>と『ドラえもん』の作者
<運命>と<運命の変更>
神が創造した変更不能な絶対時間の拒否
新たな神となった作者
<運命>の変更をスリリングに体験
二十世紀の町を見物
空から落下したのび太の世界
世界中の子供たちに夢と希望を与えてくれるバイブル

『ドラえもん』論余話
<ドラえもん>に性器はついていない
ドストエフスキーの文学の特質性
タイムマシンは<絶対時間>の概念を覆してしまう
虚構世界の<ルール>
現実的文脈で読めば
賢治童話『どんぐりと山猫』との関連
<空想>から<虚構的時空>への参入
欲望達成装置とその制御
永遠ののび太
世界の読者に支持される理由
二人で一人
<ドラえもん>に賦与された性格
<ドラえもん>はどのように登場したか
エンターティンメントとしての『ドラえもん』
懐疑しないのび太と読者
死と復活の秘儀

あとがき

カテゴリー: 書籍情報, 未分類